« 覚悟を決めて | トップページ | 二人の龍樹って »

2008/08/05

お勧め本! 生井智紹『密教・自心の探求』

月日のたつのは早いですねぇ。

もう5日だ。
010

 
 
 

 

 
 
この一週間のあいだ、
「夏休みだ」って、いう気がしたのは、一瞬だった。。。

息子たちが帰ってきて、
慌ただしく、
また帰って行きました。

試験監督しにいって
その試験が
段ボールで届きました。

他にも試験が送られてきて

全部で、800枚の答案をつけることになりました。

死にものぐるいで
300枚ちょっと  祭典 おっと 採点   する。。。

「採点」を「祭典」なんていう字に
変換しないでよ、パソコン殿。
泣けるじゃないスカ。。

あとは、たったの500枚だいっ!

はぁ~~

なんて、湿っぽいため息は、いいっこなし。

まけるな、管理人、
希望が見えるぞ

なぜなら


久しぶりに、すばらしい本にめぐりあえたんですから。。。

ブッダや龍樹のものを読むと

時々、
脳みそがふつふつと煮えたぎる感じがするんですけど
今回、久方ぶりに、それがやってきました。

=========================================
生井智紹氏

『密教・自心の探求 『菩提心論』を読む』 大法輪閣
=========================================

51edejlypjl__sl500_aa240_
 
 
 
 
 
 
 
あら、本が白いので、背景に溶けちゃった。

まぁ、いいわね。
とても、おもしろいんだから。。。って、どういう理屈だ、管理人。

いや、ほんとに、なんと言っていいかわかりませんけど

すばらしく、おもしろく、刺激的で、仏教理解が進む本です。

とくに、管理人の場合

密教、かつ、日本仏教、かつ、近代 という領域は

ほんとにわからないところなだけに

そこに通じる道を示してくれる

御著はいくら拝んでも拝みきれません<(_ _)><(_ _)><(_ _)>_(._.)_


弘法大師空海が、論として

真言密教の根幹に置いた

『菩提心論』!!

この書を読み解き
密教の心髄にせまらんとする

野心的な意欲作
渾身の書

といっても、いいのではないでしょうか。


空海さんを知りたいっ!
密教の教え、って、どんな構造?

って、
仏教好きのみなさまが、探していた本

そろそろ、出てもいいのじゃないか
もう少し詳しくて、そして、よくわかるもの

って、
わがまま読者が、待ち望んでた本

そんな本のような気がします。

少なくとも、わたしは、待ち望んでた!!!ほんとに!


取りあげられている

『菩提心論』は
龍猛(りゅうみょう)(=龍樹、ナーガールジュナ)作と伝えられる。。。。。

ほら!

もう、最初から、出てくるんですよ。

仏教界の問題児、われらが 龍樹(龍猛)  イェィ! 

とうぜんながら、
作者が龍樹かどうか、という問題は起こっています。

この文献学上の問題を、

「かの空海がとりあげた重要書」という観点で、

あっさりかわして

肝心の『菩提心論』に進んでいくのは、もっともです。
とりあえず、中身が知りたい、中身が大事なんですから。

~~~~~~~~~~~~~~~~

第一章では、 思想背景を語ります。

菩提(さとり)と、それを求める心について、
さらに、それをもつ人菩薩について、

ここを中心に

密教的な世界への導入が図られます。


大乗の「波羅蜜門」から別れて
密教的な「真言門」へと進んでいきます。


仏教列車  は、ぐんぐんスピードを上げて

菩薩の十地
如来秘密
三密加持

密教の修行構造や原理を明らかにし、

いったん、自心(スヴァチッタ)という、途中の駅で小休止。
ここまで、第一節です。

~~~~~~~~~~~~~~
次は、むずかしいす。第二節。

仏教列車  は、進みます。

は~たけもと~ぶとぶ、い~えもとぶぅ♪

空の理論も、とぶとぶ、唯識もとぶぅ

とばかりに

大乗中観・唯識の風景の中をスピードを上げて
進んでいきます。

まちがって、認識論のジャンクションに切りかえて

そっちに行かないようにね。って、警告が出ます。

あくまで、 金剛頂瑜伽 という修行のレールをはずしません。

それが、密教の心意気、って感じかな。

~~~~~~~~~~~~~~~~

こうして、『菩提心論』読解の第二章に入ります。

さて、さて、ここは、読者のみなさま

味わってください。ひたってください。潜ってください。

~~~~~~~~~~~~~~~~
第三章では、空海さんが、いかに『菩提心論』を
咀嚼し、活用したかが述べられますが

その中で、印象に残ったところを一つ。

生類の菩提心の変遷を十にまとめた
「十住心」は、空海さんの思想では有名です。

その中の、第十番目にあたる「第十住心」を述べるところで

空海さんは、『大日経』『菩提心論』に忠実であると述べ、

次のように、生井氏は語ります。

=============
顕教に対する場合とは異なって、
密教の意義を説く場合においては、
空海の意図は、
これほどまでに伝統に忠実なのである。(229頁)
==================

ここを読んで、弘法大師空海が、
並の人ではないことが
実感されました。

ブッダ以来の仏教の長い思想の変遷を
すべて飲み込んで

「その教えの顕現の仕方は千変万化
なのに
教えそのものは、不変である」

という、変化と不変 の二つの要因を
全身全霊で守り通す空海!

いかに華麗に舞うか、空海の舞をご覧じろ。。

名づけて、

即身成仏の舞ぃ~


うーん、脳みそがたぎりますね。

かれが、龍樹というなら
『菩提心論』は
龍樹なのだろう。。。。と、思わずにはいられません。

じっさいのところ、
密教の開祖が龍樹とされても
わたしは、別に驚かない です。

どっちかっていうと

密教の開祖じゃない、って、いわれると
驚きます。

一切智をえているのに、
種々の大乗経典に触れているのに、

『中論』だけで満足していたとは

「信じろ」という方に無理があります。

でも、学問的には、いろいろむずかしいところも
ありそうですが、それはそれですね。

ああ、話がそれたわ。
あぶない、あぶない、仏教列車が脱線しちゃう。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~
さて、そうそう、第四章です。
ここは、資料編です。

ジュニャーナガルバ『瑜伽修習道』
カマラシーラ『入瑜伽修習』
ナーガールジュナ『菩提心註解』

和訳があります。ここもありがたいですね。
貴重なものをありがとう!

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

力のこもった濃密な作品で

わたしの能力では

作品を伝えきれません。

とてもいい本です。

著者の心意気に喝采をおくります。

さいごは、
尻すぼみのご紹介ですみません。

管理人、

かんぜんに

本に負けてるのだった。。。転覆してます

 
 

|

« 覚悟を決めて | トップページ | 二人の龍樹って »

コメント

あらら!ヒットしちゃいました。

遅れること数年後のコメントにて、
これ読みたいです。
アゲいきまっす!

投稿: おちゃらけ | 2012/11/29 01:19

oさま

> 生井先生は、密教学概論も出版されているようです。

そうなんですか。。。ううむ、本気でチェックしなきゃ。。。

> 読んでみたい。

あれ、oさまも、まだなんですね。

よし!がんばろっと 
こういうところで、対抗意識だしてどうするねん(笑)。

投稿: 管理人エム | 2009/02/24 00:00

エム先生、

ですね。

生井先生は、密教学概論も出版されているようです。

読んでみたい。

投稿: o | 2009/02/23 21:14

oさま

> ほんと素晴らしい内容ですよ。

一目見たときから、わかりますね。
香り立つような 知識と実践があります。

ご紹介後、じっくり読もうと何度もしてますが、ほんと忙しくて、邪魔が入ってばかり。。。数頁読んでは中断をくりかえしてます。

そして、そのたびに、こんなコトしてたらダメだなぁ、と反省するわたし。。。

反省するために本を開いてるのか?という状態です。ま、それもいいか(笑)。

> 『輪廻の論証』も素晴らしいですよ。

ご紹介ありがとうございます。
そういえば、他の方にもお勧めを受けてました。。。いつか読んでみます。

いつも、「いつか」になるのが、ほんと悲しい。

投稿: 管理人エム | 2009/02/21 08:35

ご紹介されていたのですね。
ほんと素晴らしい内容ですよ。
生井先生の40年ほどの研究成果、
吟味され修行された結果ですから、
ことばも意味も素晴らしいとしか言えません。
『輪廻の論証』も素晴らしいですよ。
つい最近気づいたのですが、『中観荘厳論』についても明解な訳と解説がなされていました。

このような学僧がいらっしゃるのは心強いというか、嬉しい限りです。

投稿: o | 2009/02/20 20:48

めるろ~さま

すっかり自分のサイトなのに、覗くの忘れてました。(汗)

> 空海の凄さは、現象の因果関係を、
> 冷静にロジカルに分析している点ですね。

ほんとに!わたしも、ビックリしました。
空海以降の人々は、何をやっているんだろう、と、正直なところ、恥ずかしくなるほどですよね。

ものすごい読書量で、しかも、全部マスターしています。
龍樹をがっちりつかんでいるのは、ほんとにすごいです。

感心しますのは、論理をしっかり押さえているのに、文体に、「論理だぞ」という堅さがなくて、日本語の流麗なタッチで水のごとく流れていくことです。

楽しみにしています。


投稿: 管理人エム | 2008/08/29 15:58

そろそろ、レクチャーの内容を書き始めないといけないようです。
空海の凄さは、現象の因果関係を、
冷静にロジカルに分析している点ですね。

また、全体を見渡す視野は、恵果阿闍梨譲りかと思います。
ボディサッタ、竜樹菩薩、不空三蔵を始め、
基本経典や論書をよく読んでおられます。
いつ、空海の足元にいけるのか、見当も付きません。

<言葉からでしかいけない、言葉で現せられない世界>正に密なる世界、全く尽きない世界ですね。  拝

投稿: めるろ~ | 2008/08/26 21:00

めるろ~さま

こんにちは。

> 龍猛菩薩は、バラモンを知っているという点で重要な位置に居られると思います。

うーん、そうですか。。ヴェーダ学習そのものは、龍樹にとって、思想的に重要ではなかったと、わたしは受けとめていますが。。。しかし、むずかしいところですねぇ。

わからないです。。タントリズムあたりとの関係もよくわかりません。ヨーガ修行の伝統なども絡んでくるかも。。。これも、皆目わかりませんが。

当時の社会状況としては、インドは、仏教が広がりをもってきていたとはいえ、バラモンを主体とするヒンドゥー教的な思想・文化のもとにあったと思いますので、その意味では、ヴェーダ以来の伝統を取り込むのは、理論的に根拠さえあれば、容易であったろうとは思います。

今、ちょうど、そのあたりを漁っているところなんですが、六派系のインド哲学の伝統もかたまりつつあり、マヌ法典などダルマ・シャーストラも整備されてきている上に、プラーナなどのヒンドゥー教の聖典や『マハーバーラタ』などの叙事詩も形になってきているというように、かなり文化的に豊かな時代なんですよね。

部派のアビダルマに大乗の教典に、さらには、鉱物・薬学・医学・天文学など学ばないものはなかったわけで。。。

おそらく、龍樹は、なんでもいけただろうという感じがしてならないです。。。いや、むずかしい、わからないです。。。

投稿: 管理人エム | 2008/08/11 17:01

空海が、『大日経』と『菩提心論』に忠実だったというのには、理解しているのですが、
金剛界曼荼羅との関係が問題になるのじゃないかと思うのですね。

付法ではなく伝持の八祖の第一の祖としての
龍猛菩薩は、バラモンを知っているという点で重要な位置に居られると思います。

投稿: めるろ~ | 2008/08/11 12:28

muさま

> うまくいえませんね。。

いえいえ、うまく言えてると思います。
それって、密教の極意じゃないかと。。。どうでしょう?

人にやさしい地球にやさしい。。うまく言えないわ、わたしも。

投稿: 管理人エム | 2008/08/09 23:10

素晴らしい内容の本を紹介してくださり
ありがとうございます。

まだよんでいる途中ですが、人の
一生の指針となる内容と形式
である事に喜びを感じます。

この内容の気配を消す(自然で表現する)修行をするのが楽しみです。

うまくいえませんね。。

投稿: mu | 2008/08/09 22:22

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: お勧め本! 生井智紹『密教・自心の探求』:

« 覚悟を決めて | トップページ | 二人の龍樹って »