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2017年10月15日 - 2017年10月21日

2017/10/15

『空海に学ぶ仏教入門』をご紹介

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吉村 均先生の『空海に学ぶ仏教入門』(ちくま新書)

この書を、ご紹介しましょう。

力のこもった一冊です。


正直に言うと、

新書のわりには、むずかしいです。
すぐに読めるかと思って、
読み始めましたが、

導入部分は、非常に読みやすいものの、

さすが 空海! むずかしい!

途中から難儀をしはじめ、読むスピードがどんどん遅くなる
がんばって、
真ん中くらいの「 第七 覚心不生心 ― 中観の心 」の章をすぎると

また、スムーズに読み進むことができました。


これは、自分の理解能力とも関係があるのかもしれません。

それぞれの人が、それぞれ
スラスラ読める部分と
難儀しながら読み進む部分をもつだろうな
と、思わせられます。

それだけ、広い仏法の領域を押さえているからだろうと思います。


        ■■■


著者の執筆の意図としては

空海の教えを通して、密教に至るまでの仏教を
現代に蘇らせようとしている

と、わたしは読みました。

いわゆる、明治以降の現代的な批判的解釈による仏教理解ではなく、
現代人が生きていく指針となるような、伝統的な仏教理解を、

古くて新しい教えとして、蘇らせようとしているように見えます。


熱いなあ!
篤いなあ!


仏教の全体にわたる、広すぎる視野
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まんだら、まんだら、曼荼羅模様

場所は 
インド、中国、日本、チベット、東南アジア、
おまけに、ヨーロッパ、アメリカに至るまで

時代は 
釈尊、部派(テーラワーダ)、大乗、密教
おまけに現代に至るまで

心は 
地獄から凡夫、声聞、独覚、菩薩、仏
おまけに色界・無色界の心まで

教えは
阿含経典、華厳経、法華経、大日経、金剛頂経
おまけに 般若心経に至るまで

身体は
法身、報身、変化身
おまけに。。おまけに。。おまけは、もうない

そして、最後に

体験は
空一つ
Dsc02299s


空は、どうやら、(瞑想の)体験として
とらえられているように思われます。

瞑想中と瞑想後 は、仏教の二諦(勝義諦と世俗諦)に対応していて、
仏陀の境地になると、瞑想中も瞑想後も、(体験に)まったく差はなくなる

ということが、説かれます(p.200)
>Dsc02362s


ですから、仏教の説明としては、

凡夫は、「実体視にとらわれる」(p.63)とくりかえし説明され、
聖者は、「実体としては映らなくなる」(p.200)といわれます。
ここに、「空」のわかりにくさが、あるような気がします。

瞑想体験などのない人には、
わかりにくく感じるのではないか、
と、ちょっと思いました。

Dsc02364s

しかし

伝統的な理解の立場と、著者も語っているのですから、
ここはいたしかたのないところかもしれません。


         ■■■


とはいえ、密教の核心に入っていきますと、
凡夫には敷居の高い世界であることが、
やっぱり
明らかになってきます。

空海の『秘蔵宝鑰』『十住心』にもとづいて見るならば、

公開ではない、秘密の教え(九顕一密、九顕十密)
とされるのです(pp.188-190)。

したがって

灌頂の儀式によって師と縁を結んで
密教の修行を行わなければならない

ということも強調されています(pp.187-188)。

現在でも、真言宗では(三摩地の法については)
灌頂を受けずに解説を聞くことはできないようです(p.197)。


うーん、やっぱりハードル高いぞ、厳しいぞ。


この高いハードルをやや下げるために
ここからは、わたしの勝手な解釈です。


形式としての灌頂という儀式のみにとらわれず
経典を通して、シンボリックに灌頂をとらえ、
また、仏陀を師として縁を結ぶことも可能であるように思います。

こう解釈すると、密教の伝統的な世界からは
はずれてきますね。おこられそう。

それはともあれ、

密教の世界が、ここでまた、多くの人に親しまれてくるなら、
この書は、仏教界にとって大きな一歩となりそうです。


紫の菊も あじわう秘密の蜜
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はるけくも 秘密の教えに いたりけり

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