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2011年10月2日 - 2011年10月8日

2011/10/04

「二相ゆらぎ」の世界へ

昨日10月3日は、寒かったですね。
北海道では、各地で雪を見ました。
では、さっそく!
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どこだ? 雪って?

正面後ろの遠くの山です。樽前山の頂上付近にうっすら白いものが!
うーーーん、携帯のカメラじゃ、きびしーーーーい!

雲の方が白いですね。
我が家は、暖房なしで寒いっす。

父が生きていれば、ぜったい暖房入れてるね、って、言いながら

寒いのがまん。

父が亡くなってから、うちは、すごくシンプルライフになりました。

父のために、いろんな高価な食材も惜しげなく買っていたのが、
今では、ゼロ。ほとんど買い物しなくなって、食事がビンボーです。

牛肉って、何だっけ。。って、感じです。

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さて、さて、そんな話より、今、一生懸命読んでいる本のお話しを!

西郷竹彦氏の 『宮沢賢治 「二相ゆらぎ」の世界』 (黎明書房)

文芸学、文芸教育学の分野では著名な専門家です。
が、
著名なのに。。わたしは知りませんでした。

しょうがないなあ。。もう。

でも、いいのよ、そんなこと。
この著作が大事なんですから。

宮沢賢治の文学作品を、

『法華経』に説かれる「諸法実相」という観点で、

切り取って見せた斬新な研究なのです。
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宮沢賢治の作品には、不思議な魅力があります。
その魅力の正体にもせまるのではないかと、わたしも、ちょっと興味津々なのです。

「やまなし」という作品の中には、

「やまなし」ということばが何度が出てくるのですが、

その「やまなし」は、一個所「山なし」と表記が変わっているところがある

というのです。

うっかりミスだろ、ですって。

ちゃいますよ。

宮沢賢治の作品には、おそらく意図的だろうと思われるような

このような「表記のゆらぎ」がいくつも見つかるのです。

そこから、著者の探究がはじまります。

このような「表記のゆらぎ」は、認識にかんする

相対的で対比的な二相が、ひびきあい、もつれ合い、あらがいあう姿を
表している

というのです。

二相とは、明暗とか強弱とか善悪など、さまざまな対立を含んで、

諸法の実相を示す特徴に他ならない、と著者は考えます。
「やまなし」をどうぞ。
http://www.aozora.gr.jp/cards/000081/files/472_42317.html
かなり最後の方にある次のような文章を読んでください。

「三疋(びき)はぽかぽか流れて行くやまなしのあとを追ひました。
 その横あるきと、底の黒い三つの影法師が、合せて六つ踊るやうにして、
山なしの円い影を追ひました。」

「やまなし」とあるけど、次には、「山なし」と書いてあります。

文字を目で見ると、ほんと!なんか印象が違いますね。

「やまなし」の方は、
流れていくやまなしが、やまなしそのものの姿を柔らかくそっと伝えているようです。
「やまなし」が「やまなし」であることをそんなに主張していない感じです。

ところが

「山なし」とあると、何か物体としての「円い山なし」の感じが強くなるようです。

気のせいだ、って。
そんなことないですよ。
一つのことばなのに、ひらがなだけで書くのと漢字を混ぜて書くのと入れると
こんなに情景や状況が豊かに変化するんですね。

著者の西郷氏は、「やまなし」だけではなく、
多くの作品について、このような「二相のゆらぎ」を見いだし、解説しているのです。

このような表現の微妙な違いによって、その言い表されているものの

特徴や性質などを、『法華経』の「十如是」を用いて説明しようとしています。

宮沢賢治の作品に、現象のありのままの姿を、「二相のゆらぎ」として、
見いだそうとしているのです。

どこか、龍樹を思わせる、このような用語の用い方。。。表記法。
「十如是」にも龍樹の影響があるのではないか、とにらんでいる、このわたし。

はっきりしたことは、まだ言えませんが、何かとても示唆的で

印象深く、西郷氏の研究を拝読しているのです。

ずいぶん大事なことが、ここに眠っているような、そんな感じがします。

宮沢賢治の作品理解にも、また、宮沢賢治の『法華経』の理解にも

せまっていけそうな、そんな予感がして、

じっと著書を見つめているわたしです。

=========

それにしても、宮沢賢治の作品の、はるかに遠くに、

かすかに龍樹の姿が見えるようなきがするとは!

樽前山の初冠雪くらい、ぼんやりとして目立たないけど、

きっと龍樹はそこにいるんだろうなぁ、って、思ったのです。


ああ、宮沢賢治の童話は、ほんとにいいですね。
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