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2007/03/14

定方晟氏「医神アスクレピオスと仏教」をご紹介

つい先日、春秋社のPR誌『春秋』2・3月号を見て
おどろきました。

定方晟(さだかたあきら)先生が

「医神アスクレピオスと仏教」

という題で、寄稿しているではありませんか。

カラスノエンドウさまに、お知らせしなくちゃ。
(ヒマカナ掲示板で話題 沸騰! わたし的にはね)

とても興味深く読みました。おもしろいです!

みなさま、機会があったらぜひ手にとってご覧ください。

簡単におはなしすると、
医神アスクレピオスの誕生物語のモチーフと
仏典『ディヴィヤ・アヴァダーナ』の中のお話がよく似ていて
仏典は、ギリシア神話のこの話から採ったものではないかと
定方先生は推定しているのです。

ギリシア神話は、こんなお話。
アポロン神の恋人だった娘コロニスが、
他の若い男性と語らっているのを
白い鳥 (アポロン神から見張り役に派遣されていた) に
告げ口されてしまいます。

アポロンは怒って、コロニスに矢を放ちます。

コロニスは死ぬ前に
「身ごもっているあなたの子を助けてくれ」と叫びます。
アポロンは、火葬の火の中から、嬰児をとりだし
子どもは救われます。

この子が、医神アスクレピオスなのです。

以上のお話の、
「火の中から胎内の子を救い出す」というこのモチーフが、
仏典の中にもあるのだそうです。

救い出すのは、ブッダです。
身ごもっている女の人に子どもの性別を聞かれて
ブッダは教えてあげます。

ジャイナ教徒の悪巧みによって、
彼女の夫は、妻に薬をあたえ、妻は死んでしまいます。

ブッダの予言がはずれたことになって
ジャイナ教徒はよろこぶのですが
ブッダは、火葬の火の中から、予言どおり
男の子を取り出すのです。

その子は、火の中から取り出されたので
「ジヨーティシュカ(燃え立つ者)」と
名づけられたとあります。

この仏教説話にアスクレピオス伝説が影響しているのではないか
という定方先生の推測なのです。

ほんと、よく似てますね。

また、アスクレピオスと薬師如来の関係についても
ふれています。
こちらは、エッセーをご覧ください。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
定方晟先生は、仏教ばかりではなくインド思想全般に
たいへん詳しい専門家ですが、

他の学者が気がつかないような、
独自の問題意識と発想と視点を具えていて
いつもたいへん啓発されます。

文化と文化がぶつかりあうところ

ここが定方先生の考察の舞台です。

だから、
アレクサンダー大王のインド遠征とか

ギリシアからイランにいたるさまざまな文化と接した
クシャン朝の興隆とか

そんな文化と文化の接点を

歴史学者の目をもって文献を解読し
宗教学者の目をもって思想を比較し
哲学者の目をもって普遍性を探るのです。

こういうことができるためには
公平・中立に文化や思想をながめられる冷静な目と
人間のその内面にせまろうとする温かい目と
両方なければならないので、
その両方を兼ね備えた
ほんとに希有な学者であると思って、感心するのです。

だから、定方先生が、何か言うときは
いつも、ちょっとわくわくしてしまう。

こんどは何かな?って。

期待を裏切らないのよねっ!

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コメント

春間さま

『カニシカ王と菩薩たち』は、一度ご紹介したことがあったかもしれません。龍樹の伝記なども載っていますので。

定方氏のものでは、ヒマカナにあげた『インド宇宙誌』(春秋社)、『異端のインド』(東海大学出版会)などがあります。

読後感教えてくださいね。

カラスノエンドウさま

ほんとに表紙にあったタイトルにビックリでしたよ。
ギリシア神話には、よくあるお話なんですか。おもしろいですね。
エジプトに伝わるアスクレピオス信仰についても、定方エッセーに載っていました。このようなアスクレピオス信仰がインドに伝わって、薬師仏を出現させたのでは?と大胆な推測しています。

> 文学者の目をもって,物語の構造を明らかにする。

決まりましたね。ぜんぜん思いつきませんでした。

投稿 管理人エム | 2007/03/15 19:40

レスが遅くなって,申し訳ありません。ちょっと,ネットにアクセスしにくい環境におりまして(汗)。春間さまにも返信をしないといけないのですが,遅れております(大汗)。

「医神アスクレピオスと仏教」,とはすごい偶然ですね。ユングのシンクロニシティみたいです。ぜひ,読んでみます(『春秋』,手にはいるかな?)。
先生の日記を読んだ限りですが,確かに似てますね。ただ,赤ん坊を火から取り出す,というモチーフは,ギリシア神話ではちょくちょくあります(デメテル,アキレウスなど)。また,同種の話がエジプトにもあったはずですので,あるいはこっちの影響かもしれません。もっとも,エジプトの話は紀元「後」のギリシア人が伝えるもので,エジプトの話なのか,ギリシア人が読み込んでしまったのか,判定の難しいところです。

もう一つ付け加えてみます,

文学者の目をもって,物語の構造を明らかにする。

とりいそぎ,ご返事まで。

投稿 カラスノエンドウ | 2007/03/15 10:44

マニカナ オット! カニシカ王と菩薩たち
という名の記憶があります

でも読んだわけではないので、今回
「空と無我―仏教の言語観」
「大乗経典を読む」
を購入することにしました

読み終えたら、感想なども含めて、
お伝えしたいと思います
他に、お勧めがあれば、
お知らせ下さい

投稿 春間 則廣 | 2007/03/14 23:34

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